ネジ巻き事件簿

精神的肉体的社会的側面から見た事件史。

津山三十人殺し~8.救いはなかったのか?~

皆様、おはようございます。

長らく引っ張ってきた津山事件の終章です。

実は、都井睦雄を事件の前から本気で心配している人がいました。

「貝尾で殺傷事件が起こっとるらしい」

という第一報を聞いて、即座に
都井睦雄か!?」
と聞いた巡査です。

この人は例の祖母の毒殺未遂騒ぎの時に家宅捜索し、睦雄の屋根裏部屋から銃や弾を見つけて処分させた巡査と同一人物です。

村から一番近い派出所はいつも無人状態で、そこから自転車で行かなくてはならない別の派出所の巡査です。

家宅捜索の時に、睦雄の素直さや、他人に迷惑をかけた事でガックリしょげてる姿を見て
この人は
「村の人間の噂では、いろいろ奇行が多いみたいだが、根本的には良い子なんじゃないか」
と思ったようです。

それで、度々、村に来ては睦雄に
今みたいな無為な生活してちゃいけない、よかったら、鉄道職員の仕事を紹介する
と時々話しています。

職務上、多少は上から目線な物言いだったでしょう。
しかし、将来の具体的な事も含めて案じてくれる人は多分、この人だけでした。

もう一人、津山市や大阪、神戸に行く時に会っていた今井某ですが、
家族や仕事の話をふると即座に顔色が変わるので、適度な距離を持ちつつ一緒に遊んでいたようです。

もう一人、同じような遊び仲間がいましたが、調べても、この人はよく分かりませんでした。

今井某は言わば「間接的な共犯者」と呼ばれても、飄々とした人物らしく警察の事情聴取にも正直に答えています。
睦雄が安心出来る上にアレコレ頼める(便利だったりパシりだったりだとしても)、さりとて法外な手数料を取る訳でも、しつこく理由を聞いたりもしない、気軽な男友達だったようです。

あの惨劇を避けるのに一番いいのは
集落から出る事でした。
しかし、中学進学の時同様、祖母が泣いてわめいて引き止めていたかもしれないし、
中学進学の時とは違い、老いが加速している祖母を一人にするのは、さすがに不憫だったと思います。

今なら、どうなっていたでしょう。

不良になるとか。

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↑当時のファンは、メンバーのほとんどが大卒だと知らず、ガチでツッパッてたと思い込んでらしたのです。
そう。
メディアはこんな風に
売るためには不良のコスプレ(?)までさせて、本当の不良にレコードを買わせていました。
みんなが騙されやすい、ある意味、のどかな時代です。

しかし、睦っしゃんには、こう、都会的で知的でナイーブな不良が似合う。

こっちが似合う。
知的で都会的!

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↑わざわざ、嫌いな学校へ夜に忍び込んで、窓ガラス壊すなよ。
器物損壊だぞ。
それと、ヒトサマのバイク、盗むな。


「綺麗なのは汚い女の子
汚いのは綺麗な女の子」

これに尽きます。

そう、現実は都井睦雄が考えるような
地獄でも天国でもない。

この事件の後、日本は勝ち目のない泥沼の戦争へ突入して行き、
甲乙どころか
丙種や35才以上まで徴用される事になってしまいました。

都井睦雄の姉のサユリですが
松本清張氏の本では早々に亡くなった事になっています。
が、これは松本先生の配慮です。
実は事件後も長生きされてます。
集落からイジメにも遭っていません。

そして、たくさんの事件の本には
都井睦雄阿部定事件に、強い関心を示していた」
と、まことしやかに書かれている物が少なくありませんが
特にそうだと言える証拠も証言もありません。

新聞で普通に報道されているのを読んだりはしていると思いますが、
記事を集めてスクラップ帳を作っていたという証拠のブツもありません。

こんな風におひれを付けて
時には毒々しく時には生々しく
この事件は語り継がれて行くのかもしれません。

今回、この事件を取り上げたのは
別に調べていた事件と似ていると書きましたが、
それだけではなく、私の親戚っつーかご先祖様が、この地域の近く出身らしいのです。

きちんと聞いたりしらべたりはしていません。

だって

 

 

 

怖いじゃないですかっっ‼


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↑大量殺戮のシーンをこんな風に詩的に撮るのが、やっぱり映画監督の、すごさです。

引きこもりやニート
通り魔事件を起こすのと大差ないと取るかどうかはご判断にお任せします。

事件で亡くなった方のご冥福をお祈りします。

津山三十人殺し 最後の真相

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いつも読んで下さって
特に長い今回のテーマ、
本当にありがとうございます。