ブラックダリア事件~1.華やかな悪夢~
注意※画像は普通の物の物しかありませんが文章だけでもかなり残酷です。
耐性のない方はご注意下さい。
ハリウッドは映画の街です。
商業もエンターティメントも東京に集中してる島国・日本と違って
得意分野があちこちに分散してるあたり、アメリカは広い国だな、てのが分かります。
それはともかく、
「快楽殺人」とか「連続殺人」が増えて困っているロスアンジェルス。
1947年1月15日
若い主婦が赤ちゃんを連れて朝の散歩中
とんでもない物を見つけます。
若い女性の全裸死体。
それだけなら、この事件は
「変態な性欲を持った男に襲われた被害者」
として早くに解決していたかもしれません。
この主婦は相当、気が動転して警察に通報したのは良いけれど
自分の名前を言うのを忘れるほどでした。
何故なら
遺体は胴体を真っ二つに切られて
顔も切り裂かれていたからです。
身元不明女性遺体・ジェーン・ドウ1号は指紋を照合されます。
当時のタブロイト紙と警察は持ちつ持たれつ。
エグザミナー紙が取材の権利と引き換えに早く照合出来るようにファックス(みたいな機械)であちこちに指紋写真を送ります。
身元はすぐに判明しました。
エリザベス・ショート。22才。
ハリウッドで映画女優になる夢を持っていた彼女が
何故、こんな所で惨殺されたのか。
検死の結果、直接の死因は胴体を切断された時の失血死。
ええええええ!?
生きてる時に?
胴体の動脈を切断された時に
ほぼ即死状態だったようです。
そして、両方の口角が耳まで裂かれ
逆さ吊りにされて拷問を加えられていた形跡がありました。
マスコミの報道合戦が開始。
そして、今も未解決のままです。
この事件に魅せられ、独自に取材し
本を書く人だけではなく
オレが犯人だ
いや、アタシなの
と「自白」する人間は五百人。
名前を冠したバンドや
モチーフにした絵やオブジェも
ネットを見るとたくさんあります。
世紀をまたいで今も素人探偵が絶えないのは
やはり、その残虐さと
意図してか単なる偶然か
遺体がアートみたいに扱われているせいでしょう。
エリザベス・ショートさん。美人くです。
けれど、「犯人探し」に興味がある方
推理などしたい方には
ここから先は不毛の内容です。
その短い生涯の結末を知って
私が思ったのは
「あ、これ、私もこうなってたかも」
という直感でした。
どんな人であれ、こんな風に殺されてしまう理由などありません。
が、このロスアンジェルスの空き地に置かれてしまうまでの彼女が
現代の日本の女性の抱える問題を体現しています。
それは「三つの無縁」です。
家族、地域、行政(あるいは福祉)、そうした物と切り離された結果の非業の死です。
ありし日のエリザベスさん。
そして、調べると出てくるわ出てくるわ
すごい画像が。
人に忘れられる「二度目の死」は
もうしばらく来ないんじゃないかと思うくらいです。
そして、調べるほど
彼女のフワフワと地に足の着かない人物像が明らかになっていきます。
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いつも読んで下さってありがとうございます。
次回「検死報告書」です。
水