ネジ巻き事件簿

精神的肉体的社会的側面から見た事件史。

市原両親殺人事件~6.マイ・ホームタウン~

うちの猫が飾ってあるカスミソウを
オヤツみたいにガッツリ食おうとするのを、毎回止めるため、花をトイレに飾ったせいで
トイレが何だか無駄にセレブ感出る空間に。

猫にとって美味しいんでしょうか。

千葉県某所より、おこんにちは。

事件物やルポタージュだと
事件が起きた地域や犯人の育った場所の歴史が必須のように描かれます。

生まれる場所は選べない
そして、犯罪を犯した人物にどれほど影響があったのか
あるいは、なかったのか。

こうした点で、市原両親殺人事件の犯人とされた息子・Sの住んでいた地域は
画一化された都市化が始まっていたのですが。
あんまりドラマを感じさせない地域です。

「どこにでもある地方のフツーの場所」
です。

南部は農業が盛んで京葉地区は製油やコンビナートや工業地区
中心部は商業。

都市化しようとして
やっちまった感があるのは
メイン・ストリートを作ったんですが、これがメインでない。

駅からアチコチ行ける別の道路が盛り上がってて、そっちは飲食店や雑貨屋やお店がひしめいています。

そして、企業誘致の会社に勤めてるのは東京からの人が多く
地元の人間は高校卒業後
勉強が出来る子なら別の街へ出ていきます。
高卒で勉強も好きじゃない場合、
この別のメイン・ストリートの飲食店やコンビニで働く人が、すごく多いです。

後はゴルフ場か介護施設です。

高層建築もないし、それがまた良いんですが。

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どこにでもある風景。

んで、メイン・ストリートを作ろうとして
市役所を作り、アパートやマンションを近くにいっぱい建てましたが
仕事の多い地域へ行くには
はっきり不便。

何しろ元々の中心地でなかった所

だった所です。

パワーシャベルで削った
山の上の市役所
同じような小さな家
どこまでも続く閑散とした公道

千葉県は地元企業が弱ってて限界集落になりつつある街も多いんですが
幸い、商業やら農業が頑張ってます。
結果、同じ県内でも
福祉や行政が追い付かなくて大変な事になってる場所との格差が表れています。

マイルドヤンキーも多いし
暴力団もひっそりと多いです。

要するに、いろんな意味で中途ハンパ。

こうした振興の街は意外と住みやすくて
ぬるま湯みたいなモンもあって
仕事を求めて出ていくとか
都会型の上昇思考や意識高い系の人には結構、キツいです。

前回、判決文をごく一部引用しましたが
結構、鋭い所を突いてるなぁ
と思った箇所もありました。

私の要約です。

「両親は
経済的には何の苦労もさせず、無理に進学も強制せず、仕事も与えて、物心ともに被告を支えて来た。
なのに『第三者がやった』と子供じみた答弁に終始して未だ幼いまま」

私でなくても疑問に思うでしょう。

その「第三者」を何故、調べさせないのか。

知られたら他の家族も殺すとか
脅されてるんでしょうか。
なら、なおさら捕まえてもらった方が良いんでない?

その「第三者」を誰にも知られず
「第三者」がやった証拠もなく
けれど無罪にして!

とゆー申述書。

うーん。
息子・Sのメンタリティは大学進学に失敗した18才のままではないか
と私は感じるのです。

「自分がやってない事を何がなんでも証明したい」

と冤罪と戦う人達とは、何だかちょっと、違います。
その結果として、得る物と失う物があるのに
何ら失ないたくないよう見えます。

司法や法廷の場はサクサクと機械的で
そんな風に客観視してないと出来ない仕事で、それは被告も同じです。

映画の「青春の殺人者」では
カッとなって父親を殺したいものの
その後の主人公はドライでした。
いろいろ中途半端に事後処理をしてその過程で自分探しになり
結局、自分がどれほど両親の庇護の元に守られていたのかを痛感します。

そうです。
そうしたドラマが現実のこの事件にはないのです。

振興地域と時代の波は遠く
若者らしいビッグな夢もなく
風俗嬢の接客サービスと本音の違いも分からず
申述書で自分の都合の良いように法廷を動かそうする
要は薄い人間ドラマ。

息子・Sは現在六十才過ぎてて
メンタリティーは十代のままに感じるのです。

真実がどこにあろうと
何だかグダグダで
もういいや
と思ってしまった私でした。

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マイ・ホームタウン。

Promised Land?約束の地

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