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ネジ巻き事件簿

精神的肉体的社会的側面から見た事件史。

津山三十人殺し~7.本当に憎んでいたのは誰?~

皆様、おこんばんは。

「事件史」

は年号月日やら時間やら登場人物やら
グダグダ書かなくてはならないわりに
あんまり面白い物が書けそうにないので巻きます。

詰襟、ゲートル巻き、ブローニング銃と日本刀に匕首(短いナイフみたいな物)を持ち、
自力で改造した破壊力アップの弾の連を斜めに下げて胸には自転車用のランプに
頭には、お馴染みの懐中電灯二本。
懐中電灯は特製鉢巻きで前に光が行くようにワンポイント工夫してます。
そして足は地下足袋

なんかマメな睦っしゃんが、手縫いで鉢巻きに袋を縫い付けてる姿が浮かびます。

実際に都井睦雄は器用な人で
度々、電気が止まると電線を直してくれたりしていたそうです。
それが当日は停電。
言うまでもなく、睦雄が昼間に切っておいたのです。
しかも、集落だけしか停電にならないように。
昔の事ですから、集落の人達は「朝になったら直してもらおう」と就寝。

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↑絶叫機械 都井睦雄のフィギア

憎い女たちも里帰りして村にいる。
今夜は決行。

まず、最初の犠牲者は祖母でした。

眠っているところを一気に、手斧で首を切断。

いろいろあって、当時の現場写真を見ました。
いろいろあって、そうした写真を見てきた私ですが
壮絶の一言でした。

特に、祖母の遺体はしばらく絶句しました。

首は体から離れて50センチくらい先に落ちていました。
瞼はしっかり閉じられていますが
どういう訳か、枕に巻いている布、多分、手拭いの端を口がしっかりくわえていて、
結果、枕まで引きずられた形になっていました。
しかも、首の周辺は「血の海」としか形容出来ない状態です。

最初に銃を使うと村の人達に気付かれる、
それと事件の後、祖母はきっと一人では生きていけないから。

だって、田畑や林や家も、財産はみーんな借金の担保にしちゃったし。
生きてても針のムシロになるだろう。
姉さん、許して下さい。

そして凶行の幕が上がります。

ただ、ここですでに違和感を覚えるのです。

村人のほとんどは銃や日本刀で惨殺されています。
遺体も放置されてます。
何しろ、夜のうちに全部、殺すんだと計画してます。
時間がありません。

それにつけても。

近親者や関わりの深い人物を殺した場合、
その遺体は加害者なりに、ていねいに扱うのが普通です。
少なくとも、首と体がかなり離れたままで
そして口に手拭いと枕を、という形で放置していく孫の心理とは何でしょうか。

中学進学が叶わなかった件で
睦雄と祖母はよく言い合いになっていて、それを収めていたのが姉でした。

「後の憂いをなくすため」

とは思えない、普通の「惨殺」です。
今なら「家庭内暴力」と言われても納得出来るほど、
この祖母の遺体は無惨でした。

村の人達を惨殺してますが
銃という殺傷能力の大きい武器なのを考えても、本当に次から次へと殺しています。

と、思えば
家族を床下に避難させて、自分はコタツに入っていた男性のお年寄りには
「睦雄さん、堪えて下さい」
と言われて
「お前は僕の悪口を言わなかったな。けど、後で言うんだろうな」
と見逃していたりします。

何か気まま。
漫画や映画のように、これでもかと執拗に殺害したりはせずに
銃!日本刀!
で一気に!
と無双状態。

最後に胸のランプの電池が切れて
もはやこれまで、と諦め、立ち寄った家で紙と鉛筆をくれと頼みます。
この家の子供は、よく睦雄のお話会に参加していた少年で
睦雄は最後に「よく勉強して偉くなれよ」と言い残して去っています。

あの武装と血まみれな状態で。

この時の警察の右往左往ぶりも、記録を読んでて手に取るように分かります。
何しろ
「大量殺戮事件」
自体がそんなになかった時代。
死亡人数も報告の度に変わるし、しかも増えてるし。

「強盗だ」
「いや、夜盗だ」

と、市警はテンヤワンヤ。

朝になって、村を見渡せる丘。
銃で自殺した都井睦雄の遺体がありました。

ここなんですが、諸説あって、
当時のブローニング銃は銃身が結構、長いです。
武装姿の再現写真でも長さが分かります。
地下足袋を脱いで、胸に銃口を当て引き金を足のおそらく親指で引く、
それをするには少し難しい長さではないかという意見もネットではチラホラ見かけます。
この長さなら顎や頭を撃つのではないかと思いましたが
すみません、火器に詳しくないのでどなたか教えて下さい。

そして遺書なんですが
特定の人妻達への恨みは長く書いているのに、年齢が近い女性たちに関しては
「肉体関係があったのに、酷い」
とアッサリ書かれています。

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都井睦雄

写真を見ると、普通です。
超絶イケメンではありませんが、醜男ではない。
むしろ、どことなく都会的だし、わりと端整です。

若い男性が好きな熟女にウケるタイプと言うか、何となく、少し頼りない雰囲気もあり、いわゆる「母性本能を刺激するタイプ」のような感じです。
ベビー・フェイスの人は家族にひときわ愛されて育ったゆえに作られる事が多く、
睦雄の端整さと少年っぽさは祖母と姉の愛情をふんだんに受けたからだと感じます。

この事件は
「逆恨みの末の、村人を巻き込んだ無理心中」
と分析する人も多いのですが、
やっぱり、私は都井睦雄鬱病みたいな状態で、鬱病の初期には攻撃性や破壊衝動が増す事もあるので、
そんなものが凶行に向かわせたと感じます。

村から出て、転地療養したり
やっぱり通信教育で卒業資格を取ったり
体を治しながらコツコツと出来る事をしていれば、と思っても今は遅いのです。

何より、「誰からも羨望の眼差しで見られる人物」になる必要などなく、
近場の人間に善き事をしていれば
イジメだと感じる事はなかったのかもしれません。

亡くなった方のご冥福をお祈りします。

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↑最近、見慣れてきて「これもアリかも」と思うようになってしまってます。
ヤヴァイ。

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津山三十人殺し 最後の真相

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いつも読んで下さってありがとうございます。

次回は終章、「救いはなかったのか?」です。