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ネジ巻き事件簿

精神的肉体的社会的側面から見た事件史。

津山三十人殺し~4.陸っしゃん、ひきニート化か?~

皆様、おこんばんは。

津山事件の閑話休題

事件の舞台となった「貝尾でなんぞ、大量殺戮が起こっとるらしい」と第一報を聞いた巡査さんは
都井睦雄か!?」
と即座に聞いています。

それくらい、事件前の都井睦雄
何かヘン
な存在だったようです。

尋常小学校出てからは
畑仕事もやったりやらなかったり。
末期の頃は完全に放置してます。


都井睦雄に中学進学後に
教員や巡査を勧めたのは
もちろん学校の先生。

当時の都井睦雄の通知表を見ると
体育の成績も良いんですよね。

この先生、やはり慧眼でして
睦雄には百姓は向いてないと早くに見抜いていたようです。

しかし、明治の頃から
育英会みたいに奨学金制度があったのを
何故に活用しなかったのか。
調べても分かりませんでした。
県人会にもそうした制度があります。
教員や巡査になった場合
ほぼ、免責されるんで先生が知らなかったとも思えません。

あっても利用した生徒がいなかった
そうした制度利用をしてまでの進学は恥ずかしいという意識だったのでしょうか。

で、都井家の経済的先細りが理解出来てきた睦雄ですが
当時の少年向け雑誌を買い込んでます。

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しかも、古本。

当時の村祭りには
こうした子供向けの雑誌をですが
表紙だけ綺麗な物と換えたり
ひどい場合は前後バラバラな状態の物を一冊にして夜店で売っていました。

たちまち夢中になる睦っしゃん。

実際には自宅で百姓せずに稼ぎたい
現代でも
引きこもり&ニート
最初に目指すのは作家だったりします。

けれど、太宰先生のような「文学」を書くには高い教養と
あちこち出掛けて体験してくるパワーが必要
児童文学なら
そこそこの科学知識と創造力の自由の翼で何とかなるかも……と思ったらしく
一時、自宅の屋根裏の自室で
小説を書いたりしてます。

今でも作家志望なんだけど
車椅子の生活を送ってる子には
童話作家を勧める先生がいます。

ただ、当時から、こうした少年向け小説は
それこそ横溝先生や江戸川先生が
別のペンネームで副業的に書いていた
てな事を見抜く力は
睦っしゃんにはなかったようです。

自分の書いた小説を
近所の男の子を集めて話す事が増えます。
子供にはそれなりにウケていたようですが
大人はビミョーな表情。

18過ぎた(当時の感覚としては)大人が
勉強も百姓仕事もせず
冒険潭を子供集めて語ってる図は
異様に見えたのかもしれません。

いっそ、紙芝居で生計を立ててたら
違う未来があったかも。

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お話始めるよ~。聞く子はお菓子買ってね~♪

こうした児童向け小説を読み聞かせる事は
教師になりたい希望への代替行為です。
そして、村の男や女と違い、子供たちはバカにせず
ワクワクした瞳でお話を聞いてくれます。

この「中途半端に願いを叶える」事と
少年向け小説の世界を作る行為が
睦っしゃんをますます大人の世界から遠ざけます。
けれど
「真の意味での大人になんかはなりたくない。
そこにはやりたくもない労働や義務が生じる」
と、どこかで分かっていたのでしょう。

その「真の意味での大人になる事」を強要された時、
何かが都井睦雄を壊します。


津山三十人殺し 最後の真相

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ミステリーの系譜 (中公文庫)

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いつも読んで下さってありがとうございます。

次回は本題、「泥沼不倫は本当だったのか?」です。